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事例紹介
案内翼を用いた分割排気補助の検討
1.道路トンネルの課題
 現在多くの道路トンネルで一般的な縦流換気方式は、コスト面で優れていますが内部で生じた排気ガスが一方の坑口に集中してしまいます。 そこで、解決策の一つとして案内翼(板状二次元翼)を用いて坑口手前の立坑へ排気の一部を逃がす方式が検討されています。(図1)

図1 案内翼を用いて立坑へ分割排気
 しかし、この方式は道路トンネルの性質上翼が設置できる範囲が限られ、そのような状況において十分量の流れを立坑へ分割できるかについての具体的な知見が得られていません。
2.実際の状況を模擬した数値解析
 以上の背景から、本件では図2のように矩形断面トンネルの坑口から手前の立坑、および大空間で大気解放を模擬した三次元の領域を用い、 条件の異なる案内翼を設置した複数ケースの解析を比較することで、案内翼による立坑への分割排気補助効果について検討を行いました。

図2 立坑〜坑口を模擬した解析領域
3.案内翼設置による誘導量増加
 解析の結果から、案内翼が流れを直接偏向する以外の誘導効果を発揮することが得られました。 図3は検討を行った案内翼の一例(case1)です。直接車道に干渉(侵入)しない翼にも関わらず、約2倍の流量が立坑側へ誘導されました(排気率)。
案内翼なし 案内翼あり
排気率12.1% 排気率25.2%
図3 翼の有無による誘導量変化
3.案内翼が流れを誘引する効果
 上記、案内翼設置による誘導量の増加は、縦流によって案内翼の先端に生じた剥離の負圧場が、流れを誘引する作用によるものだと考えられます。(図4)

図4 翼端負圧場による流線の誘引
 しかし一方で、翼が流れを誘導することにより翼と流れの関係が変化、圧力分布の変化に合わせて流れの誘導も変化するため、現象は高い非定常性を見せます。(図5)

図5 誘導効果により変動する圧力場
 また、上記の剥離による負圧場は翼に接する流れの速度によって規模が変化するため、流速の早い車道中心ではより強く、遅い壁面付近では弱くなり、流れを車道中心側へ集中させる効果を発揮します。(図6)

図6 翼毎に集中する流れと圧力分布
4.検討の成果、及びまとめ
 本検討によって案内翼は直接流れを変化する以外に、流体力学的な作用によって翼ごとに流れを立坑側へ誘引する効果を生じることがわかりました。
 しかし、上記の現象は高い三次元性と非定常性を示し、翼と流れの関係によって大きく異なる結果を生じるため、翼による誘導効果を一概に定めることは困難です。
 本件では複数の解析結果から、その傾向に基づいて多くの流れを誘導する案内翼について検討を進め、 最大約57%の流れを立坑側へ誘導する知見を得ました。

*「車両による坑口持ち出しの検証」の手法を用いた、より現実的な検討も可能です。